役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

再雇用で働きながら60歳で年金を繰上げると? 減額は一生・取り消せない・高年齢雇用継続給付で一部が止まる。国の資料で確かめました

60歳で年金を繰上げると、減額は一生24%。取り消せない。働きながら給付を受けると一部が止まる

わたしは2027年2月に60歳で定年を迎え、同じ会社に再雇用で残ることが決まっています。

60歳になると、年金を65歳より前に「繰上げ」て受け取る道が開きます。働き続けるのに、年金は早めにもらおうか迷っている。そんな声を、同じ年代の人の発信で何度か見かけました。60歳から受け取るといくらになるかを年金事務所で聞いて、その額に驚いたという声もありました。

わたしも、再雇用で働きながら繰上げたら何が起きるのかを知りませんでした。決める前に、日本年金機構の資料で確かめた記録です。

60歳になると「年金を早くもらう」道が開く。働き続けるのに繰上げで迷う人がいる

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ります。ただ、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に、繰り上げて受け取ることができます。

この記事で見るのは、再雇用で働き続けながら繰上げたときの話です。辞めて失業保険を受け取る人の話は、ここでは扱いません。

繰上げのきほん:減額は1か月0.4%、60歳0か月なら24%。一生変わらない

繰上げると、年金は減ります。減り方は次のとおりです。

減額率=0.4%×繰上げを請求した月から65歳になる日の前月までの月数(最大24%)

この0.4%は、昭和37年4月2日以降に生まれた人の率です。わたしはこちらに入ります。(昭和37年4月1日以前に生まれた人は0.5%・最大30%です)

日本年金機構の早見表では、請求したときの年齢ごとに次のようになっています。

請求したときの年齢 減額率
60歳 24.0%
61歳 19.2%
62歳 14.4%
63歳 9.6%
64歳 4.8%

(昭和37年4月2日以降生まれ。各年齢の0か月で請求した場合の率)

そして、この減額率は一生変わりません。65歳になったら元に戻る、ということはありません。

繰上げの減額と「取り消せない」ことは、定年の手続きを締切順に並べた定年の手続き、締切はいつまで? 退職日から逆算した一覧表にも1段落だけ書きました。手続き全体の中での位置を見たい人はこちらからどうぞ。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則いっしょに繰上げる

繰上げるときは、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に請求する必要があります。どちらか片方だけ、という選び方は原則できません。

年金が出るのは、請求した日の翌月分からです。減額率は、手続きをした時点で決まります。請求する先は、年金事務所か街角の年金相談センターです。

一度出したら取り消せない。ほかにもできなくなることがある

日本年金機構は、繰上げの注意点をいくつも挙げています。わたしが重いと思ったのは次の3つです。

  • 繰上げを請求した後は、取り消すことができません
  • 繰上げを請求すると、国民年金の任意加入や、保険料の追納ができなくなります
  • 繰上げを請求した日以後は、事後重症などによる障害基礎(厚生)年金を請求できません。国の資料には「治療中の病気や持病がある方は注意してください」とあります

つまり、出してから「やっぱりやめる」はできません。

働きながら繰上げると①:高年齢雇用継続給付を受けると、老齢厚生年金の一部が止まる

ここからが、再雇用で働く人にかかわる話です。

60歳以降の賃金が下がったときの給付に、雇用保険の高年齢雇用継続給付があります。雇用保険に入っていた期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人で、賃金が60歳になったときの75%未満になった人に、最高で賃金の10%が出ます。

この給付と、65歳前に受け取る老齢年金は、調整されます。日本年金機構の資料では、こうです。

  • 65歳になるまでの間、高年齢雇用継続給付が出る場合は、老齢厚生年金の一部または全部が止まります
  • 止まる額は、最高で賃金(標準報酬月額)の4%
  • 老齢基礎年金は止まりません

(この10%と4%は、令和7年4月1日からの率です。60歳になった日がそれより前の人は、15%と6%です)

もう1つ、注意書きがありました。初回の給付の申請が認められると、その後に申請しなかった月があっても、申請できる期間の間は、年金の一部停止が解除されません。

給付そのものの仕組み、とくに「60歳になったときの賃金」が何で決まるかは、高年齢雇用継続給付の「60歳時点の賃金」は、定年前6か月の給料で決まるにまとめました。わたしの6か月はもう始まっている、という話です。

わたしが給付を受けることになるかは、再雇用後の賃金しだいで、まだ分かりません。

働きながら繰上げると②:賃金と年金の合計が月65万円を超えると、一部が止まる

もう1つの仕組みが、在職老齢年金です。厚生年金に入って働きながら老齢厚生年金を受け取る人は、次のようになります。

  • 年金の月額と賃金(総報酬月額相当額)の合計が65万円以下なら、全額出ます
  • 65万円を超えると、超えた分の2分の1が止まります
  • 老齢基礎年金は全額出ます

この65万円は、令和8年度の基準額です。令和8年4月に、月51万円から65万円に引き上げられました(令和7年法律第74号)。毎年度、賃金の動きに合わせて改定されます。

わたしの再雇用後の賃金は、まだ確かめていません。だから、この線を超えるかどうかは、ここでは書きません。

決める前にそろえる3つ

ここまでで分かったのは、繰上げは減額が一生続き、取り消せず、働きながらだと一部が止まる場合があるということです。日本年金機構の資料は、繰上げが得か損かは言っていません。だから、わたしも書きません。

決める前に、手元にそろえるものは3つだと考えています。

  1. ねんきん定期便の見込額(65歳から受け取る額。ここから減額率を引いて考える)
  2. 再雇用後の賃金(会社の書面で。給付を受けるか・65万円の線にかかるかが、ここで決まる)
  3. 高年齢雇用継続給付を受けるかどうか(受けるなら、繰上げた老齢厚生年金の一部が止まる)

【PR】この3つをそろえても、繰上げるか65歳まで待つかの見通しを、自分ひとりで立てるのは難しいと感じています。しかも一度出したら取り消せません。出す前に、お金の見通しを外の人に一度見てもらうのも手段の一つだと思っています。ただし、相談したからといって正解が決まるわけではありません。わたしもまだ相談していません。使ったら、実測としてここに書きます。※リンク先は、保険の見直しを中心にした無料相談です(1〜2時間の面談があります)。

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まとめ

  • 年金は60歳から65歳になるまでの間に繰上げて受け取れる
  • 減額率は1か月0.4%(昭和37年4月2日以降生まれ)、60歳0か月なら24%。一生変わらない
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則いっしょに繰上げる。年金は請求した翌月分から
  • 繰上げは取り消せない。任意加入・追納、事後重症の障害年金の請求もできなくなる
  • 高年齢雇用継続給付を受けると、繰上げた老齢厚生年金の一部が止まる(最高で標準報酬月額の4%)。老齢基礎年金は止まらない
  • 厚生年金に入って働く間は、年金と賃金の合計が月65万円(令和8年度)を超えると、超えた分の2分の1が止まる
  • わたしの再雇用後の賃金は、まだ確かめていない。決めるのは、見込額と賃金がそろってから

この記事で使った資料

決まりと数字は、すべてこの4つの資料から引きました。個人の解説記事・動画は、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。