役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

住民税は前年の所得で決まる。定年後に辞める時期で払い方が変わる(1〜4月は一括・6〜12月は自分で納付)を総務省と地方税法で確かめました

住民税は前年の所得。辞めた月で払い方が変わる。1〜4月は一括・6〜12月は自分で納付

わたしは2027年2月に60歳で定年を迎え、同じ会社に再雇用で残ることが決まっています。

再雇用のあと、いつ辞めるか。その時期を考えるときに、住民税の話がよく出てきます。住民税は前の年の所得で決まるので、辞めた翌年に高い額が来る。だから辞める時期をずらそうか、という話です。

ただ、住民税で辞める時期を決める前に、払う額が本当に変わるのか、変わるのは何なのかを確かめておきたいと思いました。総務省のページと地方税法の条文で調べた記録です。

「住民税があるから、辞める時期をずらそうか」と考える人がいる

定年前後の悩みを集めていると、住民税でつまずいた声がありました。退職して少したってから住民税の納付書が届き、払い方に驚いた。辞めた翌年、収入がなくなってから、働いていたころの所得の住民税が来た。どちらも「知っていれば、先に用意できた」という形の困りごとです。

そこから「住民税が来る時期に合わせて、辞める時期を決めたほうがいいのでは」と考える人もいると思います。

先に結論を書きます。

  • 住民税は前の年1年間の所得で決まります
  • 辞める時期で変わるのは、払う時期と払い方です。各年の所得が同じなら、辞める月を動かしても払う額そのものは減りません(2つの資料からのわたしの読みです)
  • 辞めた月が1〜4月か、6〜12月かで、残りの払い方が変わります

定年の手続きの締切を一覧にしたとき、住民税は国の資料でまだ確かめていなかったので、表から外していました。定年の手続き、締切はいつまで? 退職日から逆算した一覧表。今回はその続きです。

住民税は「前年1年間の所得」で決まる

総務省のページでは、住民税(個人住民税)の決まり方がこう書かれています。

  • 住民税には、所得に応じてかかる「所得割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」がある
  • 所得割の税率は10%(道府県民税4%・市町村民税6%)。前年の1月1日から12月31日までの所得で算定される
  • 政令指定都市では、道府県民税2%・市民税8%になる
  • 均等割は4,000円(道府県民税1,000円・市町村民税3,000円)。2024(令和6)年度からは、これと一緒に森林環境税(国税)1,000円が徴収される
  • 住民税は、その年の1月1日時点で住所がある市町村(都道府県)が課税する

もう一つ大事な一文があります。都道府県や市町村は、これらの基準を踏まえて自らの判断で税率を定め、額を決めている、と書かれています。なので、住んでいる所によって違うことがあります。自分の額は、市区町村から届く通知で見るのが確かです。

だから「下がった年」に「高かった年」の分を払う

前の年の所得で決まる、ということは、所得と住民税のあいだに1年のずれがあるということです。

  • 再雇用の1年目:給料が下がっていても、引かれる住民税は定年前の、給料が高かった年の所得で決まった額です
  • 辞めた翌年:収入がなくなっていても、働いていた前の年の所得の住民税が来ます

ここで間違えやすいのは、「ずれ」を「得」や「損」と読んでしまうことだと思います。ずれるのは時期だけで、その年の所得にかかる住民税が消えるわけではありません。困るのは額よりも、収入が減ったあとに、高かった年の分を払うという、お金の出る時期のほうです。

会社員の住民税は、6月から翌年5月までの12回で給料から引かれる

総務省のページでは、住民税の払い方は2つです。

  • 特別徴収:会社が給料から天引きして、本人の代わりに市町村へ納める。会社員は原則こちら
  • 普通徴収:市町村から届く納税通知書で、自分で納める

特別徴収の回数は、地方税法(第321条の5 第1項)に書いてあります。会社は、年間の税額の12分の1ずつを、6月から翌年5月まで、毎月の給料から引いて納めます(通知を受け取った時期が遅いなど、条文にはほかの場合も書いてあります)。

つまり、会社員の住民税の1年は「6月始まり・翌年5月終わり」です。辞める時期の話は、この12回の途中で辞めたらどうなるか、という話になります。

辞めた月で、残りの払い方が変わる

地方税法(第321条の5 第2項)では、給料を受けなくなった場合、その月の翌月以降の分は、会社に引いて納める義務がなくなる、とされています。そのうえで、例外が2つ書かれています。条文の言い回しを崩さないように、噛み砕いて表にしました。

辞めた時期 残りの住民税の扱い(条文から)
1月1日〜4月30日 5月31日までに支払われる給与や退職手当等が、残りの全額を超えるときに限り、そこから残りを一括で引く
6月1日〜12月31日 会社は残りを引かなくてよい。ただし本人が申し出た場合は、上と同じく、給与や退職手当等が残りの全額を超えるときに限り、一括で引く

(地方税法 第321条の5 第2項から。わたしの要約です。正確な言い回しは条文で見てください)

条文が言っているのは、「会社が引く義務がなくなる」ところまでです。そのあとは、総務省のページにある普通徴収の形、つまり原則は市区町村から納税通知書が届き、自分で納める形になる、とわたしは読んでいます。詳しい流れは、住んでいる市区町村に確かめるのが確かです。

5月に辞めた場合は、条文から読み取れることはありますが、市区町村の案内でまだ確かめていないので、ここには書きません。

辞める時期を住民税で決めてよいか

ここまでを並べると、こうなります。

  • 払う住民税の総額は、いつ辞めるかではなく、各年の所得で決まる
  • 辞める時期で変わるのは、払う時期と払い方(一括で引かれるか、自分で納めるか)
  • どの時期に辞めても、辞めたあとの1年は、収入が減っているのに前の年の分を払う

なので、わたしは「住民税のために辞める月をずらす」より、辞めたあとの1年に払う住民税の分を、先に取り分けておくほうが効くと考えています。ここはわたしの見立てで、資料に書いてあることではありません。

辞める時期そのものは、住民税だけでは決まりません。失業保険の日数は、65歳の前と後で大きく変わります(下の「あわせて読む」に前の記事を置きました)。年金の受け取り方とも合わせて、並べて比べる話だと思っています。どの時期がよいかの結論は、この記事では出しません。

わたしが確かめること

わたしは、再雇用のあといつ辞めるかをまだ決めていません。決める前に、次の順で確かめます。

  1. 会社を通して渡される住民税の決定通知書(特別徴収税額の通知)で、自分の年額と毎月の額を見る
  2. 辞める月が決まったら、それが1〜4月か、6〜12月かで、残りがどう払われるかを、会社と住んでいる市区町村に聞く
  3. 辞めたあとの1年に払う住民税の分を、先に取り分けておけるかを見る

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まとめ

  • 住民税の所得割は、前年の1月1日〜12月31日の所得で決まる。税率は10%(道府県民税4%・市町村民税6%)
  • 均等割は4,000円。2024年度からは森林環境税1,000円も一緒に。額は住む所で違うことがある
  • だから、再雇用1年目も、辞めた翌年も、高かった年の分をあとから払う。ずれるのは時期だけで、額は消えない
  • 会社員は、6月から翌年5月までの12回で給料から引かれる
  • 1〜4月に辞めると、最後の給与や退職手当等が残りを超えるときに限り、一括で引かれる
  • 6〜12月に辞めると、会社は引かなくなる。原則は自分で納める形(本人が申し出れば一括も可・同じ条件つき)
  • 辞める時期で変わるのは払う時期と払い方。辞めたあとの1年の分を、先に取り分けておく

この記事で使った資料

  • 総務省「個人住民税」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html
  • 地方税法 第321条の5(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226

決まりと数字は、すべてこの2つの資料から引きました。個人の解説記事・動画は、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。住民税の額は住む所で違うことがあるので、自分の額は市区町村の通知で確かめてください。

書いた人:物流の仕事を38年続けている会社員です。配車の仕事を漫画にしました。
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